「日本のチカラ」③滞日12年目のラオス人女性ノイさん ラオスへ日本のサービス精神を

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▼基礎データ
①氏名:ノイさん(仮名)
②出身国:ラオス人民民主共和国
③年齢:30才(インタビュー当時、1980年生まれ)
④出身大学:東京工科大学大学院
⑤日本での所属:レストラン勤務
⑥使用可能言語:ラオス語、日本語、英語、タイ語

ラオス出身のノイさん(仮名・30歳)は、現在、滞日12年目。日本の大学の大学院を修了後、都内のレストランに勤務している。「接客業での経験を活かし、ラオスで美容関係のビジネスを展開したい」と語るノイさん。彼女に仕事について訊く中で、留学制度の課題も浮き彫りになった。

頭脳流出を招くラオスの留学制度の落とし穴

―現在、ノイさんは滞日12年目になるそうですね。

はい。ラオスの高校を卒業後、1999年に日本の工学系の専門学校に進学しました。そして専門学校に通いながら、日本の大学受験に挑戦しました。

ラオスは学歴社会です。大卒以上だと、就職に有利に働きます。また、ラオスでは高等教育が未整備ということもあり、外国の大学を卒業することは一つのステータスにもなります。だから私も日本の大学に進学するつもりで留学しました。

そして訪日から2年後に都内の工学系の大学に入学。これからはITの時代と考え、ITについて勉強しました。その後、その大学の大学院に進学し、2009年に修士課程を修了しました。現在は都内のレストランで働いています。

―大学院の専攻と現在のお仕事は関係しているのでしょうか?

残念ながら、直接的な関係はありません。大学院では、「ワイヤレス通信技術」に関する研究に従事していました。当然、大学で学んだ専門知識や技術を仕事に活かしたいと考えていましが、せっかく修士論文を書き上げ、修士課程を修了しても、ラオスでは専門知識や技術を活かせる仕事が見つからない。就職に有利どころか、ラオスではITという言葉すら浸透していませんでした。

―専門性の高さが裏目に出てしまったわけですね。

ええ。このような大学で学んだことと仕事のミスマッチは、多くの留学生が抱える悩みです。ラオスのような発展途上国の場合、それが結果として自国からの頭脳流出につながるケースもあります。

たとえば、あるラオス人の友人は日本の大学で航空関連の技術を学んでいました。彼は卒業後にラオスで就職したかったのですが、日本の会社に就職せざるを得ませんでした。なぜなら、私と同様ラオスには彼の技術を活かせる仕事がなかったからです。このような事はよくあることなのです。おそらく、他の国からの留学生のあいだでも見ることができる問題かも知れません。

―ラオス政府は留学生の就職をサポートしていないのでしょうか。

サポートしていないですね。私の知っている限りでは皆無です。

―日本の大学側から就職のサポートはありましたか。

あればよかったのですが……。私の場合は、大学では自分の研究が実社会でどう活かされているのかを知る機会もありませんでした。できることなら大学側から就職先、インターン先、アルバイト先などを紹介してもらいたかったです。

日本の接客サービスに活路を見出す

―では、ノイさんは、どのようにして現在のお仕事を見つけたのですか。

知人の紹介で見つけました。学生時代から都内のレストランで働いています。このレストランで働いたことがきっかけで、私は日本の接客業に興味を持つようになりました。飲食店やブランドショップなど、日本の接客サービスの質の高さを知り、将来ラオスで活かせないかと考えるようになったのです。

―日本の接客サービスは、ラオスのものと異なりますか?

そもそも、お客さまに対する考え方が大きく異なると思います。日本の接客には、「お客さまは神様です」という言葉にもあるように、お客さまに対するサービス精神がありますよね。お客さまあっての自分たちと考え、いかにお客さまをもてなすかを大切にしている。そのような顧客本位の考え方が、日本のきめ細かなサービス、そして商品のクオリティにもつながっているのだと思います。

一方、ラオスには、そのようなサービス精神はありません。たとえば、レストランの店員がお客さまに対して「いらっしゃいませ」とあいさつしたり、「ありがとうございました」とお礼を言ったりすることはありません。市場経済が浸透しておらず、そもそもお客さまにサービスを提供しているという意識が低いのですよ。

―日本の接客スタイルはラオスでも受け入れられると思いますか?

もちろんです。ラオスには日本のようなクオリティの高い接客サービスがないので、戸惑いはあるかもしれませんが、喜ばれると思います。実際、ビエンチャンに日本の接客スタイルを取り入れ、成功しているレストランがあります。そのレストランのオーナーは日本に留学した経験を活かし、現在、人気店になっています。

―そもそもラオスには、日本の商品やサービスが受け入れられる土壌はあるのでしょうか。

工業製品に関しては、ありますね。電化製品・自動車・農業機械などは、日本製が信頼されています。

ですが、ラオスで最も広く受け入れられているのはタイの商品やサービスなのです。もちろん日本の製品の質が高いことは承知しているのですが、やはり身近に感じることができる流行や情報、日用品の大部分がタイ経由で輸入されることもあり、タイ・ブランドが圧倒的に強い。工業製品以外では、いくら商品力があっても日本の商品やサービスが直接ラオスに浸透することは難しいのではないかと思います。

―なるほど。圧倒的なタイ・ブランドに対して、明確な差別化を図る必要がありそうですね。

そうですね。タイ・ブランドに対して差別化を図ることができるものとしては、おそらく日本の接客サービスや精神ではないかと私は考えています。私自身、日本の接客業で培った経験を活かして、将来的にはラオスで美容関係のビジネスを展開できたらよいと考えています。

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■”日本の教育を世界へ”アスノバの「AsunoMagazine」2011/02/15 No.005

発行:アスノバ株式会社 http://asunova.com/
発行人/有田一喜
編集 /安井元規・平田彩恵
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Posted in: メルマガ, 日本語

One Comment

  1. 仁田洋介 says:

    私はラオスに住んでいる日本人で、ただいまフランス料理店を経営しております。メイルをさせて頂きましたのは私もサービスに関しては同じ意見を持っております。サービスを受けて気分のいい人はおりますが、気分を害す人は少ないと思います。ラオスにくる前はプエルトリコと言うカリブ海に浮かぶ島で日本食レストランを営んでおりました。そこで成功した理由は日本的なサービスだったと思います。ミッキーマウスのぬいぐるみを着てディズニーランドで働くならばミッキーマウスになり切るように、日本レストランで働くならば日本人の様に頭を下げてくれといつも従業員に言っておりました。まだラオスに来て一年の私にはラオスでの経営がこんなに困難だとは思いもよりませんでした。
    何かいいアドバイスを頂けたらと思います。ありがとうございます。

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